31 司馬遼太郎 日本を俯瞰する20選
ついに欧州の大国ロシアと戦うことになった日本。力を結集して立ち向かうも、苦戦は免れない。その中で好古・真之の兄弟もそれぞれの立場で戦いに立ち向かっていく。
明治新政府と共に成長した3人の若者は、当初の目的とは異なる進路を選択していた。それは近代国家としての成長と同じ軌跡を描き、近代戦争に巻き込まれていく。
新政府から下野した西郷は隠遁生活を始めたが、政府密偵の企てが露見されて遂に決起する。しかし西郷は自ら動かず、政府軍の勢いに飲まれ、敗退を重ねてしまう。
明治維新が成るも、西郷は倒幕の情熱を失ったな日々を過ごしていた。やがて西郷は朝鮮派遣に役割を見出すも、盟友大久保利通と路線の違いで対立することになる。
11歳の子供は銭を得るために、身体を張って稼ぐようになる。15歳でいっぱしの極道となった万吉は、幕末の乱世の中で漢家業に磨きをかけて、名を高める。
肥前藩を脱藩した江藤新平は、見事な建白書から死罪を免れ、維新になると一転活躍する。その頭脳は新たな国づくりへと向かうも、そこに立ちはだかる人物がいた。
老中を輩出する長岡藩の家臣に生まれた河井継之助は、独自の学問で識見を深め、藩政改革を行なう。戊辰戦争で「公武周旋」を目指すが、新政府軍は敵と見做した。
周防の百姓医として生まれた村田蔵六。蘭学の世界で名を広め、軍聖書の翻訳から、自ら軍を率いる立場に変遷する。長州征伐、上野戦争、そして戊辰戦争と活躍する。
多摩の農民に生まれた土方俊三は燃え滾る心中を抑えるためにケンカと女を必要とする「バラガキ」。やがて争乱の世となり、京で新選組を結成して節義を貫く。
勝海舟との出会いによって新たな道を歩む竜馬。対してかつての仲間たちの運命は暗転する。それでも自らを信じる竜馬は、残った倒幕派を結集するために奔走する。
土佐の郷士の次男坊、坂本竜馬はうすのろに見えるも、剣の才能で若者の中心となっていく。時にペリーが来航し、土佐藩でも藩論が分かれて争乱の時代になる。
父から剣術を学んだ千葉周作は、天賦の才能に恵まれると共に合理敵思考で取り組み、てたちまち頭角を現わす。しかし従来の来の指導者から反発を生むことになる。
江戸中期、高田屋嘉兵衛は奉公先から水主、船頭へと出世して遂に独立を果たす。蝦夷地を往復して急成長を遂げるが、そこでロシアの南下政策に巻き込まれる。
関ヶ原の戦いで勝利した徳川家康だが、まだ豊臣家が残っている。天下を磐石にするためにも家康は知恵を絞って大坂城を攻め、豊臣家を滅亡させようと試みる。
豊臣秀吉が薨去すると、徳川家康が天下を狙うが、秀吉子飼の石田三成がその野望を食い止める。戦いに至るまで2人の虚々実々の駆け引きが繰り広げられる。
貧乏だが実直な山内一豊に嫁いだ千代は、夫を操縦しながら出世する道を歩む。話題作りをして主君から目が留まるように工夫し、やがて一国一城の大名に出世する。
黒田官兵衛は、その知謀から主君小寺家を差配し、新興の織田家に家運を託す。しかし古老からの疑念に会い、説得に行った有岡城に閉じ込められてしまう。
貧農の子に生れた「猿」は、才覚に恵まれ元手を増やそうとして、織田家で出世と遂げる。藤吉郎から筑前守となった秀吉は、本能寺の変後、天下を継承していく。
長曾我部元親はまだ新興の織田家家臣から嫁を貰い誼を通じて、まずは四国平定を目指す。しかし巨大になった信長が四国を狙い、元親が築いたものを奪おうとする。
斎藤道三は織田信長を一目見て信長を尋常鳴らざる人物と察知する。同じく器量を見込んだ明智光秀は道三の死後信長と邂逅し、やがて運命がぶつかり合う。
妙覚寺で学識を謳われた松波庄九郎は、国主になる夢を捨てがたく、自らの才覚を頼りにして油問屋の主人から、美濃国に取り入って、「国盗り」を進めていく。
衰亡した足利幕府に使えた北条早雲は幕府に見切りをつけ、妹が嫁いだ駿河に下る。そこで今川家の立て直しを行ない、そこから自らの勢力を伊豆に伸ばしていく。
源氏の棟梁、源義朝の子の義経は不遇の暮らしを続けていた。そして打倒平家を目指す源氏の蜂起に合流するとその軍事的才能を発揮し、平家を滅亡に陥れる。
唐から帰国した空海は、驚異的な活躍をする。密教を日本に根付かせるとともに、書を初めとする文化面でも日本で突出した存在になる。
神童として生まれた空海は、都での学問に飽き足らず、人間の普遍的真理を追究しようとして、ついに密教の存在に辿り着く。唐に渡り短期間で密教の奥義を授かる。