32 池波正太郎 世の闇を照らす20選
貧乏郷士に生まれた中村半次郎は、学はないが大らかで陰のない性格。敵には容赦ないが味方には感情が溢れる性根は西郷隆盛から愛され、陸軍少将まで出世する。
近藤勇は平凡に見えたが、時に器量を見せて周囲は心服していく。清河八郎が率いた浪士隊に参加すると、勇は将軍護衛の任務にこだわり、隊と離れて新選組を結成する。
大盗賊の片腕で活躍する雲津の弥平次は、湯治先で記憶喪失の男の世話をする。弥平次が江戸に戻ると、記憶喪失の男は腕を見込まれて、仕掛人になったことを知る。
鍼師の藤枝梅安が助けた男は、記憶喪失に陥っていた。その時以前の元締から「仕掛」の依頼が入る。配下の十五郎の行く末も含め、徐々に物事が収斂されていく。
堀真琴は16歳の時に浪人に襲われ、供の金吾が殺されてしまう。仇討ちを決意した真琴は剣術の修行に明け暮れ、婿も自分を打ち負かす男でないと認めないという。
かつて高名な剣客だった秋山小兵衛。偶然に出会った波川周蔵が、自分の子供で剣豪の大治郎を襲う情報を得る。しかしなぜ息子が襲われるのかが、わからない。
雲霧仁左衛門は大きな盗みを働くが手口が鮮やかでかつ周到。火付盗賊改方も捕まえることができない。雲霧は配下の七化けのお千代を忍ばせ、新たな盗みを企てる。
火付盗賊改の長谷川平蔵、通称「鬼平」。噂に聞く酒屋に寄ると、侍上がりの無愛想な主人が営んでいるが、店は見張られている。すると店に曲者が侵入する。
月森十兵衛は「将軍に落ち度あるときはこれを正す」密命を受けた家系。5代将軍綱吉は生類憐れみの令を出して勝手放題。そうした中松の廊下で刃傷事件が起きる。
上田城で徳川の大軍を足止めした真田昌幸と幸村だが、関ヶ原の戦いで西軍は敗れる。大坂の陣を前に昌幸は亡くなり、幸村は最後の戦いを求め、大坂城に入城する。
武田家滅亡により真田家は独力で上田の地を守ることになる。当主昌幸は、長男の信幸、次男の信繁、そして家臣団と共に、大国に囲まれる中謀略と武略を駆使する。
徳川体制が固まる中、加藤清正は徳川と豊臣の間を取り待つべく、情報収集の役割として忍者を必要としていた。甲賀から追われる身の丹波大介は、その話に興味を持つ。
福島正則は秀吉亡き後の政局の帰趨を握っていた。徳川方の忍びの小たまは福島正則に色仕掛けで取り入るが、正則は自分の立場の重要性を全く認識していなかった。
甲賀流だが、丹波国で父の手ほどきで忍びとなった丹波大介。真田家に仕えるが真田昌幸などに徐々に心服していく。その時頭目から、真田幸村を討つ命を受ける。
甲賀忍びの上田源五郎は北条家家臣に仕えて防諜を担っていたが、その主人の娘と恋仲になる。元は武田家の忍びだった主人は源五郎を認めたが、その顔に記憶があった。
信長は武田領に侵攻する。信長暗殺に執念を燃やす於蝶は長男の信忠に目をつけるが、魅力に取り込まれてしまう。一方半四郎は明智光秀の軍勢に侵入していた。
武田家に派遣された甲賀忍びの井笠半四郎は、於蝶の誘いで甲賀を裏切ってしまう。姉川から三方ヶ原、そして長篠の戦いを半四郎は裏側から見届けることになる。
甲賀の一派、杉谷忍びの女忍、於蝶は、上杉謙信の護衛を命じられ実績を積んでいた。その後杉谷忍びは、主君浅井長政の敵となった織田信長殺害に目標を変える。
甲賀に育てられた丸子笹之助は、大事な任務を女がらみで失敗する。そこに武田信玄暗殺の任務を受け、侵入するためにまずは塚原卜伝の弟子となることになった。
織田家中の阿閉淡路守に仕える「槍の勘兵衛」は、戦場で活躍しては器量の乏しい主君を替え、知行を増やしていく。そして藤堂高虎から2万石で誘われる。
中国地方を制覇した尼子家は、梟雄経久が亡くなると急速に滅亡の危機に瀕する。尼子家の家臣、山中鹿之介は「なり振り構わず」尼子家再興のために活躍する。
上泉伊勢守は長野業政に仕えながら、剣士としての生き様に憧れを抱いていた。主君業政の娘に剣を教えるうちに過ちを犯し、後に長野家の悲劇を呼び込んでしまう。