小説を 勝手にくくって 20選!

ジャンルで分けた20選の感想をつづります。

       書評を中心に、時たま日常を語り社会問題に意見します。ネタばれは極力気をつけます。        

52 城山三郎・清水一行 経済小説10&10

20 ITの踊り 清水 一行 (2004)

情報処理大手の会社TISの子会社でゲームメーカー広報部次長の秋葉は、親会社TISの総帥でカリスマ経営者としても名をはせる大物、吉原の意向で、玩具メーカーとの合併交渉を担当する。

19 一瞬の寵児 清水 一行 (1997)

北原甲平は新聞配達をしながら名門大学へ通い、医師から不動産業界へ華麗に転身した人物。バブル経済で「寵児」と呼ばれた男は、入札妨害疑惑という濡れ衣とも思える罪状で逮捕された。

18 器に非ず 清水 一行 (1988)

「浜松の発明王」と称された五十嵐繁哉の下で、本州モーターズの経営を担うことになった神山辰男。五十嵐は車の開発、神山は経営及び財務と役割を分担して会社を大企業に育て上げた。

17 逆転の歯車 清水 一行 (1986)

大手総合商社「山紅」で四十九歳の若さに専務に登り詰めた井関弘志は、国会の証人喚問席に立たされていた。井関は、順調だったサラリーマン人生の終わりに理不尽さを感じていた。

16 兜町物語 清水 一行 (1985)

証券不況に株式本部長に抜擢された谷川欣治は、興業証券の危機的な状況を回避する。一方ルポライターの安部良治は、特ダネを掴むも報道協定破りで夢破れ、作家への転身を狙っていた。

15 闘いへの執着 清水 一行 (1983)

日本最大の製パン業を育てた笹沼金一郎は執務中に心臓病で倒れても病床で社長としての実権を握り続けていたが、役員会は取引先の千代田製粉と手を組み、社長解任の罠を仕組んでいた。

14 一億円の死角 清水 一行 (1981)

ダイドー自動車を日本一の自動車メーカーに押し上げた「販売の神様」田部井彦太郎。その息子の圭司は50歳を過ぎて偉大な父からの独立を求めるが、嵌められてパクり屋の餌食となる。

13 燃え盡きる 清水 一行 (1972)

持って生まれた暴れん坊の牧田與一郎は、三菱重工業の社長として、硬直的で公家集団の企業体質を、柔軟で野武士的な組織に変えて、日本経済の推進力となるべく、病を推して尽力していた。

12 虚業集団 清水 一行 (1968)

戸籍のない、書類上存在しない人間の上条健策。上条は自らを「硬派金融」と称して、ターゲットにした会社に罠を張り、とことんまで食いつぶす手法で、日本経済の裏街道を突っ走っていた。

11 小説兜町(しま) 清水 一行 (1966)

神武景気、岩戸景気と呼ばれた時代、興業証券の山鹿は自らの相場観で大成功をおさめ、空前の株ブームを巻き起こす。しかし時代は、組織力と調査力が相場を動かす時代に移ろうとしていた。

10 外食王の飢え 城山 三郎 (1982)

倉原礼一はレストランのチェーン化に奔走し、会社の規模を一流になることを追い求める。一方首都圏では、沢兄弟が経営するファミリーレストラン「サンセット」がチェーン展開されていた。

9 勇者は語らず 城山三郎 (1982)

川奈自工の人事部長冬木毅と、その下請会社の社長山岡悠吉は、かつて戦友だったが、現在は自動車メーカー親会社と系列会社の関係になった。冬木から、山岡は次々と難題を背負わされる。

8 臨3311に乗れ 城山 三郎 (1980)

戦後の荒廃の中で、資力もバックも信用もない中で、旅行代理店に活路を見いだす主人公、馬場勇。先見性と創意工夫、そして野武士的な実行力を武器に、新しい世界に切り込んで行く。

7 百戦百勝 ~働き一両、考え五両~ 城山 三郎 (1974)

大物相場師が闊歩する中で相場に規則性を見出し、「売り」を得意として新しい情報を得て、派手な相場師たちに立ち向かい百戦百勝、ついには「相場の神様」と言われた男の人生を描く。

6 男たちの経営 城山 三郎 (1974)

当時玉石混合だった石鹸業界に挑戦した花王石鹸の歴史。一企業の存在が単なる「職場」ではなく、そこで働いたことのある人たちの「心の故郷」たり得るかを問いかけた物語。

5 役員室午後三時 城山 三郎(1971)

日本最大の紡績会社「華王紡」に君臨する社長藤堂は、華王紡を再建し権力を誇ったが、社長に忠誠を誓い、腹心として異例の出世を果たした実力者に、その地位を奪われることになる。

4 価格破壊 城山 三郎 (1969)

「全ての物は腐っていく。回転させなければならない」と確信した主人公の矢口は、「価格破壊」も様々な抵抗を受けながらも、消費者を味方にして突き進み、小売業の王者になっていく。

3 当社別状なし 城山 三郎 (1963)

中丸富五郎の強引な誘いで入社した尾川利夫は、中丸の私物化した会社経営に苦言を呈するも、中丸は受け入れず積極経営で借金を積み重ねていく。それでも中丸は「当社別状なし」と胸を張る。

2 小説 日本銀行 城山 三郎 (1963)

戦後の占領下で「法王」と呼ばれた一万田総裁が君臨して絶大な権力をふるった日本銀行。狂乱したインフレを終息させようとする若手日銀マンが、一途さ故にエリートから蹴落とされていく。

1 男子の本懐 城山 三郎 (1980)

緊縮財政と行政整理を必要とする「金解禁」は史上最も鮮明な経済政策。浜口雄幸と井上準之助。性格も境遇も正反対の2人の男が、1つの政策に命を賭け、男子の本懐とは何かを問いかける。