48 歴史小説・近代(幕末~昭和)20選
幕末から昭和編で、20選で取り上げなかった作品を紹介します。この時代は植松三十里さんが、21世紀になってから旺盛な創作活動で多くの作品を発表しています。
海軍に入隊した鈴木貫太郎は出世が遅れ不満を抱くも、黙々と仕事をこなすと、最高位まで出世する。が、突如侍従長のポストを命じられ、昭和天皇と関係を深くする。
米内光政は海軍で「グズ正」と言われながらも人望があり出世していく。海軍大臣では「金魚大臣」と揶揄されるも、終戦に際し筋を曲げず、海軍と内閣をまとめていく。
陸軍に入隊した阿南惟幾は、実直な人柄で政争が激しい陸軍内で注目を浴びる。侍従武官の際に侍従長だった鈴木貫太郎内閣で陸軍大臣を勤め、終戦を迫られる。
頭脳明晰だが奇行が目立った石原莞爾は、陸軍で頭角を現わし、満州事変を成功させた。しかし陸軍は派閥抗争と戦線拡大が進み、石原の思いからは離れていく。
高貴な身分と優れた教養、そして秀麗な風貌から国民全体の期待を集めた近衛文麿。なるべくして総理の座に就いたが、そこで自らの政策を貫くことはできなかった。
石工の子に生れた広田弘毅は学問に優れ、外交官を目指す。堅実で実直な仕事振りは徐々に周囲に浸透し、外務大臣、そして総理へと登り詰めるが、戦犯に指名される。
日露戦争の外貨獲得を成功させた高橋是清は、その後6度の蔵相で危機を乗り切るも、軍事予算の拡大を食い止めることで恨みを買ってしまい、二・二六事件を迎える。
高橋是清はヘボンの私塾で学ぶと海外渡航を希望する。ところが渡米先で騙されて奴隷として売られてしまい、何とか帰国すると、波瀾万丈の人生がスタートする。
尾張藩出身の加藤高明は帝大を首席で卒業するも、三菱に就職して岩崎弥太郎の娘婿となる。そこから外務省に転じて活躍するが、剛直な性格から山県有朋と対立する。
岩手県水沢に生れた後藤新平はお七馴染みの斉藤実と県庁に小僧として雇われる。支援を受けて医学を学ぶも、様々な人の縁にも恵まれて、官吏から政治家へと成長する。
南部藩家老の家に生れた原敬は、戊辰戦争で賊軍に回ったために苦難の道を歩む。それでも優秀な頭脳と実務家としての力量、南部人を代表する気構えで出世していく。
公家出身の西園寺公望はその胆力から明治の元勲たちに見込まれ、後継者教育を受ける。恵まれた出世コースを歩み総理の大命を受けると、その後元老として支えていく。
時代は明治から大正に移り、山本権兵衛が総理の印綬を帯びる。権兵衛は議場をそして陸軍を圧倒するが、シーメンス事件が起きて、権兵衛は舞台から追い落とされる。
薩摩出身の山本権兵衛は、若い頃からの暴れん坊。明治維新後は海軍に進むが、西郷従道の庇護によって、先輩をもリストラする軍制改革を行い、日露戦争に備えた。
紀伊藩の名門から出奔した陸奥宗光は、坂本龍馬の知遇を得て明晰な頭脳を武器に世に出る。明治維新後は国権に傾く政府に叛旗を翻すが、捕えられ投獄されてしまう。
大隈重信は佐賀藩伝統の「葉隠」教育に反発して老公鍋島閑叟に反発、倒幕運動に突き進み明治新政府ではその能力から要職に就くが、その性格から周囲と相容れない。
土佐藩は上士の家に生れた板垣退助は、親どころか藩主も持て余す暴れん坊。倒幕戦は武士道とはかけ離れた戦術で勝ち進む。しかし戦に飽きると、弁舌で政府に挑む。
公家でも最下級の家格に生まれた岩倉具視は、幕末の動乱の中、様々な謀略を抱えて活躍する。そこには当時世を動かした「言葉」を巧みに使い分ける姿があった。
京都は混乱していた。長州、薩摩、会津がそれぞれ対立する。大政奉還からの混乱を玉虫左太夫は仙台藩および会津と朝廷の仲介に奔走するも、官軍が頑迷だった。
仙台藩の微禄藩士に生まれた玉虫左太夫は、向学の思いから上京して、国学者として有名な大槻磐渓の知遇を得る。海外への興味から渡米し、世界を見聞して帰国する。
名門の旗本の小栗忠順は、文武に秀でて、外国人との交渉も巧みだった。幕府立て直しのために外国の力を借りて倒幕派を討とうとするが、反対派はその実力を恐れた。
長州征伐で敗北を喫した幕府は衰退への道を歩み、徳川慶喜は大政奉還を受け入れた。しかし戦いの火種は未だ盛んで、勝海舟は日本のために戦乱の回避に努める。
暴れん坊の小吉の子の勝麟太郎は、佐久間象山の洋学塾に入門する。ペリー来航により攘夷か開国かで世の中が揺れる中、咸臨丸で渡米して表敬を果たす。
井伊家の14男に生れた直弼は、将来が見えずに暮していた。しかし兄たちが亡くなり藩主になると、ペリーが来航して幕府始まって以来の混乱に直面していた。