小説を 勝手にくくって 20選!

ジャンルで分けた20選の感想をつづります。

       書評を中心に、時たま日常を語り社会問題に意見します。ネタばれは極力気をつけます。        

70 国内ミステリー20選(メフィスト賞前)

20 テロリストのパラソル  藤原 伊織 (1995)

アル中のバーテンダー・島村は、20年前に学生運動で共に闘った友人・桑野と爆弾事件を起こし警察に追われていた。新宿中央公園で朝からウトウトしかけたその時、突然爆音が響く。

19 魍魎の匣 京極 夏彦 (1995)

楠本頼子は、美少女の柚木加菜子から声をかけられ親交を深め、2人で最終電車に乗って湖を見に行こうと約束する。しかし加菜子は駅のホームで何者かに突き落とされ、列車に轢かれてしまう。

18 慟哭 貫井 徳郎 (1993)

松本は娘を失い、仕事を辞めて彷徨っている。そんな中新興宗教の勧誘を受けて興味を持つ。一方キャリア警視で警視庁捜査一課長の佐伯は、誘拐・殺害された事件の陣頭指揮をとる。

17 火車 宮部 みゆき (1992)

本間刑事は、妻の親戚から相談を受ける。婚約者だった関根彰子が、突然連絡が取れなくなったという。交際中に自己破産していることが判明し、問い詰めたところ消息不明になったという。

16 双頭の悪魔  有栖川 有栖 (1992)

鉄砲水で分断された木更村と夏森村でそれぞれ殺人事件が発生する。木更村では江神とマリアが、夏森村ではアリスたちが、それぞれ事件の真相を解明しようと推理を試みる。

15 戻り川心中  連城 三紀彦 (1989)

大正浪漫漂う日本人の情愛を描いた恋愛小説と、殺人を主とする探偵小説を、男女の間に潜む「動機」を橋渡しにして見事両立させた。「たおやかな」5編からなる短篇集。

14 生ける屍の死 山口 雅也 (1989)

一族で巨大なスマイル霊園を運営していた。当主に呼ばれて屋敷に居候していたその一族の1人である青年グリンは、当主の死を目前にして陰謀が進行していることを察知する。

13 99%の誘拐 岡嶋 二人 (1988)

当時幼稚園に通っていた生駒慎吾が誘拐された。父親の生駒洋一郎は半導体製造会社イコマ電子の社長で、当時技術力には定評があったが、提携先の不手際で被害を受けていた。

12 十角館の殺人 綾辻 行人 (1987)

十字形の奇妙な館が建つ孤島・角島を大学ミステリー研究会の7人が訪れた。館を建てた中村青司は、半年前に焼死したという不吉な屋敷。やがて学生達は1人1人予告通りに殺害されていく。

11 写楽殺人事件 高橋 克彦 (1983)

浮世絵を教える大学の講師津田は、骨董市で古い秋田蘭画の写真集を安く購入する。眺めていると、蘭画の小さな落款に驚くべき文字を発見する。「東洲斎写楽改近松昌栄画」。

10 バイバイ、エンジェル 笠井 潔 (1979) 

女子大学生ナディアは、留学生の日本人・矢吹駆に一目惚れして、積極的に近づく。「現象学」を研究している矢吹駆は、各地を放浪して、まるで苦行僧のように無欲の生活を営んでいた。

9 大誘拐 天藤 真 (1978)

スリ師の戸並健次は社会復帰の元手として紀州の大地主・柳川とし子を狙い誘拐を企てる。身代金は5千万円。ところが誘拐された方は「私はそんな安い人間ではない」と100億円に値上げする。

8 殺しの双曲線 西村 京太郎 (1971)

東京で発生した連続強盗事件。容疑者は一卵性双生児のため特定できず逮捕できない。一方、雪山のホテルから招待状を受け取った招待客が、1人ずつ殺害されていく。

7 虚無への供物 中井 英夫 (1964)

氷沼家を舞台にした連続殺人事件。ところがミステリーマニアたちは、事件が起きる前から事件の真相を解明するという人物もいる始末。そして事件に対して各々が好き勝手に推理を行う。

6 太陽黒点 山田 風太郎 (1963)

美貌の苦学生・鏑木明は社長令嬢・多賀恵美子と出会い、特権階級への足掛かりを手にする。ところが令嬢・恵美子の天衣無縫な性格と行動に翻弄される内に惨めな気持ちになっていく。

5 白昼の死角  高木 彬光 (1960)

六法全書を隅から隅まで調べ尽くし、法律の抜け穴・盲点を突いて大胆不敵な詐欺を繰り返してきた「天才的知能犯」鶴岡七郎の一連の「活躍」を描くピカレスク・ロマン。

4 悪魔の手毬唄 横溝 正史 (1959)

鬼首村で休養していた金田一耕助。そこで磯川警部から23年前に起こった未解決事件の話を聞く。そして23年後、鬼首村出身のスターが凱旋するのに合わせて新たな連続殺人事件が発生する。

3 りら荘事件  鮎川 哲也 (1958)

学生のリゾート用として開放していた「りら荘」に学生男女7名がりら荘を訪れる。翌日りら荘そばの崖下で下が発見される。それは連続殺人事件の発端だった。

2 ドグラ・マグラ 夢野 久作 (1935)

目覚めた「私」は記憶喪失で自分が誰だかわからない。「私」の前には精神科医の若林教授がいて「私」が名前を思い出せば全てが判明するという。

1 二銭銅貨(江戸川乱歩傑作選) 江戸川乱歩 (1923)

魅惑な謎を論理的に解決する構成は、現代のミステリーとしても充分通用する内容。そして怪奇趣味に踏み出す様子も見られる、初期の作品をまとめた江戸川乱歩の短篇傑作集。