小説を 勝手にくくって 20選!

ジャンルで分けた20選の感想をつづります。

       書評を中心に、時たま日常を語り社会問題に意見します。ネタばれは極力気をつけます。        

序章 小説で見る戦国武将マップ

 ここから戦国時代に入ります。このくくりだけでなく、司馬遼太郎池波正太郎藤沢周平、そして「三英傑」を絡めて数多くの戦国武将を主人公として作品を取り上げていきます。それは日本史上珍しい「力」が支配する時代。人が生きるために遠慮や忖度は邪魔にしかならず、目的を明確にした「合理的な思考」が幅を利かせる時代でした。小説で取り上げる題材もまた数多くあります。

 そしてしばらくは「地方分権」の時代が続きます。まるで甲子園の地方予選のように、町や村の勢力が勝ち負けを繰り返し、やがて地区代表たる戦国武将たちが各地でのし上がることになります。その後勝ち抜いた武将たちは三英傑と「全国大会」を繰り広げることになりますが、ここでは戦国時代で取り上げる作品をできる限り都府県をバラして地図で「俯瞰」したいと思います。

 なおことの性質上、北海道と沖縄県は除かれていますので、ご容赦ください m(_ _)m

       

 

 できるだけ各県で重ならないように作品を取り上げましたが、そうするとかえって空白の県が気になります。

 東日本では岩手県。「天を衝く」の本拠が岩手県北部ですが、「津軽」に対する「南部」と考えるとちょっと弱いか…… 南部信直を主人公とした「南部は沈まず」を考えたのですが、江戸時代に南部藩について触れますので、高橋克彦の古代作品群と合わせてでご勘弁ください(この作品に含まれるもう1つのテーマは、別の作品で描かれています)。

 千葉県。時代を超えた傑作「南総里見八犬伝」があるので、私が紹介するまでもありません。

 富山県。明治以降幾多の財界人を輩出し、経済小説で取り上げましたが、ここでは空白県になりました。上杉勢と織田信長による「魚津城の戦い」や、本能寺の変後に富山を支配した佐々成政徳川家康を味方につけようと、冬期の北アルプスを走破した「さらさら越え」、江戸期に入り加賀藩前田利長の隠居城として、隠密と暗闘を繰り返した舞台として、歴史小説に登場しています。

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*富山の県民性について触れた作品です。

 

 西日本では、まず四国の香川県愛媛県。ともに長宗我部元親を描いた「夏草の賦」で国土を蹂躙される舞台としては描かれますが、それだけではちょっと残念。しかし香川県は「空海の風景」、愛媛県は「坂の上の雲」と、誰もがうらやむ司馬遼太郎の代表作の舞台となっていますので、それでご了承ください。

 

nmukkun.hatenablog.com

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 宮崎県。「天孫降臨」の舞台も、ここでは空白県になりました。北は大友家から、南は島津家から侵略され、両家が激突する「耳川の戦い」が行なわれます。島津伝統の戦法「釣り野伏」で大友家に壊滅的な打撃を与え、九州の勢力図を一変させる結果となりました。

 

 そんな言い訳がましい弁解を連ねて、次回から北の青森県を皮切りとして徐々に南下し、日本全国を網羅できるように紹介していきたいと思います。