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元々は「ミステリーベスト20”海外編”」を頭の中で妄想していましたが、それではクイーンとクリスティーに偏りそうな危険があったので、先に両者(+ホームズ物)を「片づけて」今回くくりました。
そのため最初は、好きな順番に並べる「ベスト20」形式で行おうとしましたが、下書きをしている途中で年代順に並べ替えました。並べ直した理由の第1は本格派の隆興と衰退、そしてプロフェッショナルの能力を持つ主人公による「新本格派」(海外ミステリーでこの言葉が適切とは思えませんが)の流れなど、時代におけるミステリーの流れが分かり易いと思ったためです。
第2は「ヒロイン像」が時代を下るに従って変化があり、こちらも年代順に取り上げることで、変化が分かり易くかつ書き易いと思いました。
第3は「ベスト20」といっても、順番は翌日には忘れそうだから(笑)。そして改めて、1980年代以降の作品の充実さを感じました。
その反動で「クイーン以前」の作品がランクから消えてしまったのは心残りです。「黄色い部屋」も「赤毛」も「グリーン家」もそして「樽」も。子供の頃「ハウツー本」を頼りに読んだ、創元推理文庫の作品たち。しかし改めて年代順に作品をあげると、ミステリーの分野は過去の積み重ねがあって、新たな作品ができるのがわかります。それはミステリーに不可欠なアイディアやトリックが、過去の名作を下敷きとして作られ、また読者も古典の作品を「本歌取り」として、新たな作品を読むからです。そのためミステリーを読む度に、過去の様々な「古典」が脳裏に甦り、「古典」の価値が減じることは、私の中ではありません。
今回番外として挙げた「世界推理短編傑作集1~5巻」はそんな古典の、アイディアとトリックが満載の短編集です。その作品の内容はまさに「密」。1つ1つの作品の質が密ならは、1冊1冊も密となっています。これからミステリーを読み始める人は特に、そして現代のミステリーを読んでいる人も、その「原型」が透けて見える作品が多く取り上げられていますので、機会があれば手に取ってください。
そんな短編集から好きな作品3つを羅列して、この稿を終わりにします。
第一巻 「医師とその妻と時計」、「ダブリン事件」、「十三号独房の問題」(傑作です)。
第二巻 「放心家組合」、「赤い絹の肩かけ」、「急行列車内の謎」。
第三巻 「堕天使の冒険」(なぜか一番好き)、「イギリス製濾過器」、「偶然の審判」。
第四巻 「信・望・愛」(こちらも気になる)、「オッターモール氏の手」、「二壜のソース」。
第五巻 「ボーダーライン事件」、「クリスマスに帰る」、「ある殺人者の肖像」。
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将来21世紀の作品や古典ミステリーで「くくり」を復活するかもしれませんが、海外ミステリーのくくりは、ここで一区切りとして、国内ミステリーに移りたいと思います。
「作家別くくり」では、本来横溝正史や松本清張の大御所を取り上げるべきでしょうが、残念ながら20の作品と取り上げるのは、最初はギブします(でも、将来トライしたい気持ちはあります)。
ここではまず、現在の国内ミステリーの興隆に寄与した「新本格派の旗手」、島田荘司をくくります。ノンジャンルでも傑作はありますが、20を選ぶと偶然にも、島田荘司が創作した2大スター、御手洗「潔」と「吉敷」竹史が中心になりました。そこで「島田荘司 キヨシとヨシキで20選」と題して、次回からスタートします!