小説を 勝手にくくって 20選!

ジャンルで分けた20選の感想をつづります。

       書評を中心に、時たま日常を語り社会問題に意見します。ネタばれは極力気をつけます。        

38 歴史小説・中国の王朝を巡る20選

番外 対談 中国を考える 司馬遼太郎 / 陳舜臣(1978)

中国史については造詣が深い司馬遼太郎と陳舜臣の対談は、春秋戦国時代かあら20世紀まで、ポンポンと話が飛びながら進んでいき、そこから日本の問題点を指摘します。

20-2 ワイルド・スワン ② ユン・チアン(1993)

毛沢東支配が始まる。作者は父の不器用な生き方によって虐げられながらも、希望を持って勉学に励む。母の尽力もあり、イギリス留学生に選ばれ、自由の翼を得た。

20-1 ワイルド・スワン ① ユン・チアン(1993)

満州で生れた祖母から著者までの、時代に翻弄された女性三代の物語。馬賊から日本軍、赤軍、国民党と支配者が代わる中、母は共産党に望みを託して生きていく。

19-1 天子蒙塵 ① 浅田 次郎(2016)

清が滅亡する。最後の皇帝の溥儀は、間もなく紫禁城から追い出されて日本軍を頼る。張作霖は中原に侵入したが満州に戻ると日本軍の謀略によって、命を落とす。

18 孫文(「青山一髪」改題) 陳 舜臣(2003)

華南の農家に生れた孫文は、合理的な精神から清国の国体に疑問を持つ。やがて革命を志し、海外を飛び回って金策と武力を準備すると、辛亥革命として実を結ぶ。

17-2 中原の虹 ② 浅田 次郎(2006)

張作霖は満州で巨大な軍閥を築き、袁世凱の北洋軍と対立する。そんな中南方では孫文の革命勢力が拡大する。3歳の幼帝、溥儀に抑える力はなく、清国は滅亡する。

17-1 中原の虹 ① 浅田 次郎(2006)

清国創生の聖地の満州で頭角を現わした張作霖。勢力を拡大する中、皇帝乾隆帝が隠した「天命の証」龍玉を見つける。一方王宮では袁世凱が権力の座を狙っていた。

16-2 蒼弩の昴 ② 浅田 次郎(1996)

政界の大立者の李鴻章も、凋落する清国を支えることはできなかった。若き梁文秀は「変法」の仲間たちと体制内改革を志すが、反動によって同士たちが刑死してしまう。

16-1 蒼穹の昴 ① 浅田 次郎(1996)

貧乏だが屈託なく生きる李春雲と親から期待されない梁文秀は友達同士。しかし李春雲は宦官として、梁文秀は首席の郷試合格者として西太后政権下の王宮で再会する。

15-2 阿片戦争 ② 陳 舜臣(1967)

イギリスは圧倒的な武力と金に物を言わせたやり方で、中国人同士が戦う凄惨な戦いの後方で果実を得る。清は穆彰阿が林則徐を排して実権を握るが、敗色濃厚となる。

15-1 阿片戦争 ① 陳 舜臣(1967)

18世紀の清。貿易収支の赤字に苦しむイギリスはアヘンを輸出するターゲットとした。道光帝は自らアヘン中毒となった経験から、林則徐を使って取り締まりを図る。

14 賢帝と逆臣と 小説・三藩の乱 小前 亮(2014)

李基信はその才能から清の防諜組織の配下となり、最初は台湾に、次いで雲南省の呉三桂の元に侵入する。果たして呉は清に反乱を起こすが、ここぞの時に煮え切らない。

13-2 韃靼疾風録 ② 司馬 遼太郎(1987)

明の崇禎帝は猜疑心が強く部下を死罪にして人心は離れ、李自成によって滅亡する。明の軍隊を率いていた呉三桂は、山海関を開いて韃靼の騎馬隊を本土に入れてしまう。

13-1 韃靼疾風録 ① 司馬 遼太郎(1987)

平戸島に漂着しうた韃靼人のアビアを助けた庄助は、韃靼に送る主命を受ける。明、金、そして朝鮮の民族が入り乱れ思惑が錯綜する中、庄助はアビアと行動を共にする。

12 永楽帝  伴野 朗(1999)

朱元璋の四男に生れた朱棣は、皇位を簒奪して永楽帝として即位する。大航海を指示し明を最大版図に広げたが、人心からは離反されていた。

11 朱元璋 皇帝の貌 小前 亮(2010)

食に事欠き托鉢僧になった朱元璋は、紅巾族の反乱に参加するが、持ち前の洞察力で頭角を現わし、間もなく大勢力を率いる。人材も集り元を駆逐して中華統一に導いた。

10 中原を翔る狼 覇王クビライ 小前 亮(2012)

クビライは殺戮を繰り返すモンゴル軍の中で「不殺」を抱えた異色の人物。後継争いに勝利すると、繊細で巧緻な政治と勇敢な戦いで、モンゴルを最大版図に広げた。

9 耶律楚材 陳 舜臣(1994)

元々遼の流れを汲む耶律楚材は、侵略を受けた金から重宝された父を持つ。その金はモンゴルに侵略されるが、堂々とした態度の知見がチンギス・ハンの目に留まる。

8-2 チンギス・ハン ② 堺屋 太一(2007)

一旦敗れたチンギス・ハンだが、その後周辺種族を糾合し、盟友だったジャムカを破りモンゴル帝国を建国する。西域と西夏を制覇し、金に挑むところで寿命が尽きた。

8-1 チンギス・ハン ① 堺屋 太一(2007)

テムジンは父に早く死なれ自身も命を狙われるが、強靱な意志で逆境を跳ね返し、チンギス・ハンの座に押される。すると盟友の契りを結んだジャムカと対決することに。

7 紅塵(宋金戦争) 田中 芳樹(1998)

女真族の金に攻め込まれた宋は、皇族の大半が拉致され過酷な境遇に陥った。抗金の名将・韓世忠の子の子温は金に深く潜入し、金の実情を捉え、戦う決意を固める。

6 宋の太祖 趙匡胤 小前 亮(2006) 

唐が滅亡した後の混迷の時代。学問が苦手で堪え性もない趙匡胤だが、人望は有して周囲から認めていた。軍に入隊すると頭角を現し、周囲から皇帝に祭り上げられる。

5 長安烈日(黄巣)(1998)谷 恒生

俊英な黄巣だが、唐末期は悪政がはびこり唐に見切りをつけた。打倒唐を目指して反乱勢力を結集して長安に侵攻するが、そこでは兵が乱暴を繰り返し、民の心は離反する。

4 奔流(鍾離の戦い) 田中芳樹(1998)

中国の南北朝時代。華南の梁は北魏の侵略に悩まされていた。梁の陳慶之は子どもの頃から明晰で戦術にも通じ、常に白馬の騎士団を率いて寡兵で大軍を翻弄していた。

3 苻堅と王猛 (2008)/ 劉裕 豪剣の皇帝(2018) 小前 亮

混迷が続く五胡十六国時代。華北の雄、苻堅が100万の軍勢を率いて淝水の戦いに臨むも、後に皇帝となる劉裕も加わった東晋の8万の兵は見事に大軍を打ち破った。

2-2 三国志 ② 吉川 英治(1943)

諸葛孔明によって呉と蜀は手を結び、魏を打ち破り「天下三分の計」は成った。しかし関羽が、曹操が、そして劉備が次々と没し、混迷を収める者はいなくなった。

2-1 三国志 ① 吉川 英治(1943)

後漢末の乱世、暴虐の限りを尽くした董卓を、地方長官の曹操が倒す。袁紹・袁術ら名門を滅ぼし天下統一に迫るが、無名の劉備が呉の孫権と同盟し、立ちはだかる。

1-2 項羽と劉邦 ②  司馬 遼太郎 (1979)

項羽は劉邦を攻めるが、劉邦は兵糧潤沢なまま籠城し勝敗がつかない。やがて講和するが、劉邦らは項羽の軍が衰弱していることを見て、乾坤一擲の大勝負を仕掛ける。

1-1 項羽と劉邦 ①  司馬 遼太郎 (1979)

始皇帝が薨去すして世は乱れる。反秦勢力として、武力が突出する項羽が盟主となっていくが、配下には「ごろつき」と思われた劉邦が、なぜか存在感を増していた。

序 塚本靑史と、中国の王朝を巡る歴史小説 40選

今回からは始皇帝から20世紀まで続く小説40選を取り上げます。前半は古代中国に精通した塚本靑史作品。後半は各王朝の変遷をテーマにした作品に繋げていきます。