小説を 勝手にくくって 20選!

ジャンルで分けた20選の感想をつづります。

       書評を中心に、時たま日常を語り社会問題に意見します。ネタばれは極力気をつけます。        

本棚の中身と「外身」

今週のお題「本棚の中身」

 

 書評をテーマにブログを更新している私としては、他人の本棚は興味津々。先輩の家に招かれた時もジロジロと見てしまい、ブロガーが自分の本棚を写した画像があると見入ってしまいます。でも私の読書のジャンルは「クセ」が強く、純文学がさりげな~く置いてあると、持ち主に対しては尊敬の目に変わってしまいます。

 対して私。手元に電子書籍はなく(あったら会社に行けなくなりそうなので、定年までガマン)、さぞかし私の本棚はギュウギュウ詰めでたくさんの本が・・・・と思われるかもしれません。実際に実家にいた時の蔵書は、おそらく3000冊は超えていたと思われますが、ここに「断捨離魔王」が登場!(以前紹介した時、小さな反響を呼びましたww) 転勤の度に配偶者による厳しい指導の下、思い出深い本たちに次々とサヨナラを告げ(させられ)、今では数十冊となってしまいました。

 

 そんな私ですが、スタートの時は可愛いもの。中学入学の時に買ってもらった新潮文庫シャーロック・ホームズシリーズや、エラリー・クイーンの国名シリーズなどをそろえては悦に浸っていましたが、その保管方法はタタミの上にドン!

 そのため中学1年の夏休みの自由課題に、自分で本棚を作ることにしました。

 材料は板だと高いので、角材を組み立てて3段の構造で簡単な設計図を作り、資材を買ってきて製作開始。まずは寸法に合わせて角材を切るところから始めました。

      

 慣れない手つきでノコギリをギコギコ使っていると、父が帰宅。危なっかしい私の手付きが見てられないらしく「明日は会社が休みだから、俺が手伝ってやる」と言ってくれました。

 普段は口数が少ない職人肌の父は、血が騒ぐのか翌朝早く起きて、何とカンナの刃を砥石で一生懸命研いでいる! その背中にはオーラが出まくり、子供心にイヤ~な予感に包まれるのがわかります。

 まず私の拙い設計図を見て「これじゃダメだ! 強度が全然足りない」と言って材料を足して、寸法を取り直して1つ1つの木材にカンナをかけては、面取りまでしていきます。私はゾーンに入ってしまった父を、黙って見ているばかり

 突然父が「トノコを買ってこい!」 

 私「トノコ・・・・?」 

 父「店員に聞けばわかる。今から塗れば明日には乾いてまた作業できる。あと紙やすりも粗いのと仕上げ用の細かいものを2種類買ってこい!」

 当時はホームセンターなどなく、町の材料屋さんに行って要望を伝えたところ、店主さんは目を丸くして「ボウズが使うのかい? トノコなんてここしばらく売った覚えないぞ」と言って、奥からトノコを出してくれました。

 

【砥の粉(とのこ)】 

砥の粉は、板や柱などの着色・目止めや漆器などの「塗り下地」。

主に桐タンスの仕上げ塗装、木製品の着色・目止めのほか、漆器などの「塗り下地」として利用される。

     出典: ウィキペディア(太字はブログ管理人)

 

 さすがに危険を感じた私は、夕食の時に恐る恐る父に話しかけます。

 「手伝ってくれるのはありがたいけど、中学1年生の宿題なんだから、こんな本格的に仕上げると、自分で作ったものじゃないとバレちゃうよ」

 「いや、折角作るんだから、できるだけいいものにしなければな」

 「普段勉強も見ないくせに、たまに良いところ見せようとしても、やり過ぎなのよ!

 

 母の一言で父はシュンとなり(何か最近よく見る光景ww)、結局父は手を引くことになります。翌日は口を挟みたくなるのをガマンしながら、寂しそうに私の作業を時々眺めていました。

 出来上がった本棚はちょっとグラグラしましたが、私には満足のいくものでした。けれどもその後蔵書があふれかえり、本格的な本棚に取って変わります。

 

 それからおよそ45年経った今、私の本棚には、両親の位牌と遺影が飾られています。家を継いだ兄が実家を売却したことで、長らく放置されていた位牌と遺影を強引に奪ってきました。

 配偶者と相談して、改めて仏壇を用意するのは止めて、開放感のある清潔な場所で、毎朝両親に挨拶して出勤するようになりました(これはドラマ「義母と娘のバラード」を観て、いいなと思った光景)。

 私の本棚に、いい感じで収まっている両親を見て、昔の本棚と両親にまつわる話を思い出しました。

 

nmukkun.hatenablog.com

 *本作品の舞台となった実家の話題。やはり思い出がいっぱい詰まっていました。