小説を 勝手にくくって 20選!

ジャンルで分けた20選の感想をつづります。

       書評を中心に、時たま日常を語り社会問題に意見します。ネタばれは極力気をつけます。        

最近読んだ本は 昔読んだ本

今週のお題「最近おもしろかった本」

 

 昨年も似たような「お題」があったと思い出して探してみたら、ありました。

 ストレートに「読書の秋」。そして書評を書いている私は、こんな文を冒頭に出して、「お題」に乗っかっていました。

 

春夏秋冬いつでも読書三昧の私の辞書に「読書の秋」という言葉はない。先を急ぐので、これにて御免! (2021.10.25)

 ・・・・(*_*) (なんとマヌケな・・・・)

 

 先日の「スランプ・・・・?」の投稿もあり、自分のブログと向き合いました。今回もその延長線上で「お題」に乗っかりたいと思います。

 

nmukkun.hatenablog.com

 

 私のブログは、私が「過去」に読んで印象に残った本を思い出して、再読して書評としてまとめているものです。そのため最近読んだ本は、過去に読んだ本の再読が主になっています。

 時には40年以上前に読んだ本の再読もあり、読んだ当時を思い出しては懐かしく思いますが、この作業がここ2年ほど続いています。すると最新刊からの「インプット」がなくなって、そのためちょっとして飢餓状態となり、「スランプ」を感じることになりました。

 とは言え私の「20選」は、私の読書体験そのもの。子供の頃から本屋さんに行っては、題名、あらすじ、そして紹介文などから興味が湧いた本に手を取り、時には「残念な」本もある中で、ツボに嵌まった本に出会った時の感動! は、何ものにも代えがたいものがありました。

 それはまさに「鉱脈」を掘り当てたヤマ師のよう。小学生の時のシャーロック・ホームズ物語から始まり、海外ミステリー作家、そして国内作家に移り、現在取り上げている経済小説の作家、そしてそれ以外の様々な作家さんへと、「鉱脈」を辿って作品を掘り進めていく作業を今まで「ずーと」続けてきました。

 そのため読まないジャンルは徹底して読まない、という欠点もあります。純文学、恋愛小説、ライトノベルなどはほとんど手つかずの分野。退職したら腰を落ち着けてじっくりと読みたい純文学のジャンルもありますが、それが将来の課題として取っておいています。

 

 そんな中で「最近読んだ本」をあげますと、小前亮の「劉裕 豪剣の皇帝(2018)」になります。日本史は好きですが、中国の歴史は弱い私。「三国志」の世界はフリークとまではいきませんが、一般的な知識は持っている(つもり)の私も、その後は全くダメ。

 

 「生ける仲達」の子孫が三国を統一した晋も、わずか2代ほどで滅亡して、その後は私の頭の中では暗黒の「五胡十六国時代」および「南北朝時代」に入ります。304年から439年まで続き、その間文字通り5つの夷族によって16の国が興亡したとされる五胡十六国時代と、そのまま581年の隋の建国まで、中国の北と南で興亡が繰り返されたとされる南北朝時代。国名どころか国の数も正式に覚えられない、およそ300年近くにも渡る混乱の時代は、学生の時に「年表を飛ばし読み」した知識しかありませんでした。

 そんな時代の真っ只中の383年に起きた「淝水(いすい)の戦い」。中国の北と南がぶつかり合う戦争は、北の(前)秦がなんと100万の軍勢を率いて南の東晋を併呑しようと出兵します。対する東晋軍はわずか8万。

 何よりも同じ時期の日本は、ヤマト朝廷ができたかどうかという時代。聖徳太子どころか、現在の皇統の祖と言われる応神天皇の頃ではないかと思われる、弥生時代古墳時代と呼ばれていた頃のお話。そんな時代に中国では100万の軍勢を集めて、甲冑を揃えて鉄剣を持って、関ヶ原の戦いを優に超える規模の戦いがあったことに驚きました。

 「五胡十六国」時代は名前の通り多くの国が生れ、そして多くの皇帝が生まれた時代でもありました。そして「乱造」された多くの皇帝は悲劇的な最後を遂げます。本作品の主人公で(劉)宋を建国した劉裕の子孫は、死を迎えるにあたって「2度と王家に生まれたくない」との言葉を残したと言います。

 

 日本と比べてあまりにもスケールの大きな中国の歴史。そして小説に限らず、世の中ではまだまだ「鉱脈」は枯渇していないようです。その大半は、ブロガーに皆さんにお任せしてチョコチョコと覗かせていただき、私は今後も地道にキンコンカンと、自分の鉱脈を掘り進めていきたいと思います。