小説を 勝手にくくって 20選!

ジャンルで分けた20選の感想をつづります。

       書評を中心に、時たま日常を語り社会問題に意見します。ネタばれは極力気をつけます。        

次は「歴史小説」をくくります!

 前回まで経済小説を作家と業種毎に7つ、くくりました。これで国内ミステリーも含めて、戦後日本の社会や経済を「うっすらと」網羅したような気に(勝手に)なっています。

 そこで次からは、戦前までの日本を「歴史小説」で辿っていきたいと思っています。

 ところで「歴史物」には、歴史小説時代小説のジャンルがあります。似て異なるこの2つ。違いを一番簡潔に説明していると思われる、作家堺屋太一の言葉を借ります。

 

時代小説は歴史・時代を舞台とした創作で、史実と関係ない。(中略) 歴史小説は、史実を正確に伝え、史実と史実の間を合理的に推測し記述する」(「チンギス・ハン」第一巻172ページ)。

 

 以前は「一平二太郎(司馬遼太郎池波正太郎藤沢周平)」を中心とした巨匠の独壇場でしたが、最近になって次世代の作家が「違う角度から光を当て」ことで、様々な作品が世に出ることになりました。直木賞を初め多くの賞を獲得し、読者のすそ野も広がった印象を受けます。そこでこちらでも作家や時代でくくって、取り上げていきます。

 そして経済小説と同様に、こちらも先に今後の投稿予定を記したいと思います。

 

1 司馬遼太郎 日本を俯瞰する20選

 今年で生誕100年を迎える司馬遼太郎。創作の原動力は、若き日の陸軍時代に味わった精神主義に対するアンチテーゼ。合理的な精神で「この国のかたち」を作った人物を著してきました。そんな作品群を通して、古代から近代までの日本を「俯瞰(ふかん)」(司馬史観のキーワード)します。

  司馬遼太郎司馬遼太郎記念館HPより)

 

2 古代(弥生~平安時代)20選

 神話時代は取り上げず、スタートは紀元「後」から。ヤマト王権が確立し、天皇中心の国家が形成されるも、その後は藤原氏が政道を支配し、華麗な王朝絵巻が繰り広げられます。最後は貴族たちが「自滅」して終焉するまでのおよそ1,000年を取り上げていきます。

 

3 中世(鎌倉~室町時代)20選

 力によって自らの政権を打ち立てた武士ですが、力を持つがために、創業から血で血を洗う争いが繰り広げられます。抗争は室町時代になると更に広がり、遂には応仁の乱が勃発して将軍は武家を統率できなくなり、戦国時代に突入していきます。

 

4 戦国時代(戦国武将編)20選

 将軍の権威が失墜すると共に下剋上が横行し、その混乱は京から全国へと波及していきます。日本史上類を見ない、混乱と「力」が支配する世界。ここでは各地で割拠した戦国武将たちを、青森から鹿児島まで取り上げていきます。

 

5 池波正太郎 世の闇を照らす20選

 司馬遼太郎と同じく今年で生誕100年を迎える池波正太郎。海軍の経験を経て日本を見つめる視点は「反体制」。敗者、忍び、そして犯罪者などに焦点をあてています。戦国時代から幕末まで、時代小説の「鬼平」「剣客」「仕掛人」にも触れながら、取り上げていきます。

        池波正太郎広辞苑より)

 

6 戦国時代(織田信長編)20選

7 戦国時代(豊臣秀吉編)20選

8 戦国時代(徳川家康編)20選

 ご存じ「三英傑」ですが、ここで取り上げるのは、数多くある自伝的小説は避けて、家族、家臣、ライバル、そして象徴的な戦いを扱った作品にしました。最初は3人まとめて1つのくくりを想定していましたが、関連本が増えていて「三英傑」それぞれ1つずつのくくりになりました。池波正太郎の後に取り上げることで、「隈取り」が一層鮮やかになると思います。

 

9 藤沢周平 市井に寄り添う20選

 藤沢周平は21世紀になってから、映画でも数多く取り上げられ、注目を集めました。江戸時代の階級社会の中で、下級武士や町人などを中心に、その営みや「武士道」を描いていきました。そんな作品群を三英傑の後、そして江戸時代に入る前に、取り上げます。

                 藤沢周平週刊朝日より)

 

10 近世(江戸時代編)20選

「日本史上1,2を争う危機管理能力」を持った徳川家康が開府した江戸幕府は、鎌倉、室町と違って盤石の体制を築き上げました。それでも家康が予想しなかった貨幣経済尊王思想の浸透などにより、徐々に軋みが生じてきます。幕藩体制の確立から各種改革を経て、幕末に至る様子を取り上げていきます。

 

11 近代(幕末~太平洋戦争)20選

 磐石と思われた江戸幕府が瓦解します。幕末は運命を共にした幕府官僚を中心に。そして明治以降は勤王の志士出身の「元勲」たちを中心に、「この国のかたち」をどのように作ったのか。そしてどのように太平洋戦争に至ったのかを取り上げていきます。

 

12 日本文化通史 20選

 日本で生れた独得の文化。それは世界と隔絶した特徴を示し、そして世界に比する芸術や技術を生み出していきました。平安から明治まで、日本独自の文化や技術などを取り上げていきます。なお宗教家も考えましたが、管理人(私)がその方面に精通していないので、こちらも「逃げました」。

 

13 宮城谷昌光 三代・春・戦国20選

14 塚本史  古代中国20選

15 から清へ 中国歴史小説20選

 昔から日本に馴染みのある中国の歴史。断片的には読んでいましたが、時系列に追っていくと、「悠久の歴史」に圧倒されます。これらはくくりが始まる前に、紹介したいと思います。

 

 15くくり✕20選で合計300作品。数だけでも経済小説の倍以上なのに加え、説明を交えた【あらすじ】が長くなり、1つの投稿が今までのおよそ1.5倍の分量となってしまいました。主人公の人生を紹介すると共に、ネタバレと(ほとんど)関係なく、のびのびと(?)【あらすじ】を書いていますので、ご勘弁ください。しかも歴史小説は長編が多く、前後編もいくつか登場しています(さすがに3回に分けるのは避けました)。

 隔日掲載の予定ですが、それでもざっと見て2年ほどかかりそうなシリーズ。読者の皆さまを置いてきぼりにする危惧を抱きつつも(^^)、よろしければお付き合いくださいませ。