小説を 勝手にくくって 20選!

ジャンルで分けた20選の感想をつづります。

       書評を中心に、時たま日常を語り社会問題に意見します。ネタばれは極力気をつけます。        

【コラム】 「モリ・アベ」問題とエリザベス女王

1 安倍元総理の国葬問題

 安倍元総理の国葬が行なわれる9月27日が迫っています。国葬が決定した時の私の感想は以下でした。

   ① 岸田首相にしては早い決断。普段からこのような決断力が欲しいところ。

   ② 「桜を見る会」、「モリ・カケ」問題がまだくすぶっている中で、国費を使う「国葬」は疑問。

 ところが国葬と決定したあと、報道は旧統一教会自民党議員との繋がりの話が中心となってしまいました。確かに旧統一教会霊感商法など、献金を行わせるやり方は疑問が残り、また日本を「踏み台」とするような教義には反感が湧きます。

 しかし今までマスコミ各社は長年この問題を正面から取り上げなかったにも関わらず、事件後になると誰々が何年前に祝電を打ったとか、その程度の報道しかできない姿勢には疑問を持ちます。その立場を先日「法の不遡及」を例に出して、もっと冷静な報道を行うように提言しました。 

 

nmukkun.hatenablog.com

*この投稿をした時よりも、更に報道は過熱しています。

 

 ところがほぼ同様の意見を開陳したパックンが、「被害者家族の気持ちをないがしろにして」と言われ炎上しています。それならば過去20年以上正面から報道をしていなかったマスコミは「不作為の作為」として攻撃されて然るべきでしょう。

 霊感商法や被害者家族の問題、そしてこの報道以降も続く国会議員との関係には、ぜひとも「冷静な視点で」報道してもらいたいものです。

 

2 森元総理の「顕彰」問題

 そうしたら今度は、東京オリンピックパラリンピック組織委員会前会長の森喜朗元総理に「顕彰」の胸像を制作するという報道が流れてきました。発起人は組織委員会関係者の橋本聖子武藤敏郎を中心とした委員たちと、その周辺の財界人ら。そしてその設置場所は新秩父宮ラグビ一場内に作られるラグビーミュ一ジアムだそうです。

 森前会長は自民党内で文教放として長年活躍し、国内のみならず海外のスポーツ関係者ともパイプが太く、組織委員会の中では頼りになる存在だったのでしょう。しかし別名「失言大魔王」は自らの発言で、世界から女性悪視の非難を浴びて、組織委員長を辞任した経緯があります。そんな人物を「顕彰」するのは、世界から日本の女性観について誤解を招きかねない、否 「必ず招く」行為のはず。本来ならばその経緯を恥じて、顕彰など辞退すべき話のはず。胸像の製作発起は今年の5月だそうですが、発起人たちのセンスのなさを思うと、日本人として恥ずかしく、また残念でなりません。

    *森喜朗前総理(毎日新聞より)

 

 そんなところへ、今度はオリ・パラ汚職事件で逮捕されたA0KI前会長から,200万円を手渡されたとして、東京地検特捜部から事情聴取されているとの報道。ぜひとも「膿」を全部出してもらいたですが、仮に「お見舞い金」だとして贈収賄の構成は弱いとしても、スポンサーという利害関係人から組織委員会会長がお金を受け取ること自体、会長の職として失格です。本来ならば自身が会長時代におきた一連の事件について、「更なる」責任を取るべき立場です。

 新たに発生した「モリ・アベ問題」。国民の意識とはかけ離れた、限られた身内で「付度」を国や(みなし)公務員などの立場で行うには、国民から見れば新たな「贈収賄」とも取れます。死者を悼み、功労者に顕彰を行う行為は理解しますが、残念ながらこの2人は相応しいとは思えず、(安倍元総理が存命時ならば)そのような顕彰は辞退すべき立場です。

 

3 エリザベス女王の「国葬

 そしてイギリスのエリザベス女王崩御されたニュースが入りました。安倍元総理とは比較にならない「在位70年」の間、イギリスの顔として国民から、そして「第二次大戦後」の象徴として、全世界から慕われた女王でした。

 心からご冥福をお祈りします。

 安倍元総理に忖度をして、警察庁長官にまで登り詰めた中村格氏が、その安倍元総理の警護において「失態」の責任を取り辞任した巡り合わせ。そしてこのたび、エリザベス女王の「本物の」国葬として報道された後、日本の「国葬」が行なわれる巡り合わせは、安倍元総理ではなく、その決定をした人たちに、重くのしかかることになりそうです。

 

  エリザベス女王朝日新聞デジタル