小説を 勝手にくくって 20選!

ジャンルで分けた20選の感想をつづります。

       書評を中心に、時たま日常を語り社会問題に意見します。ネタばれは極力気をつけます。        

【コラム】 立憲民主党よ、どこへ行く

1  予算委員会での質問

  1月25日の予算委員会で、立憲民主党山井和則氏がコロナの感染隔離について質問した。当時のきまりでは、子供が感染した場合原則10日間隔離され、濃厚接触者は更に最終接触日を起算日に10日間の待機期間を求められるため、「親は20日間働けない」として、濃厚接触者の待機期間短縮を求めた。

  岸田首相はこの質問に対して期間短縮を「検討していく」と応じたが、山井氏は「検討すると言っている間に事態は逼迫する」として、今週中の決断を求めたが、首相は期限を区切ることには応じなかった。

 結果的には「今週中」に期間短縮決定したが、山井氏がこだわった「今週中」にいかなる根拠があったのか。コロナ感染は「科学的知見」(岸田首相の答弁)を必要としているものであり、その決まりを覆すにはそれなりの根拠と手続きが必要になる。

 尾身茂コロナ分科会会長などが待機期間を7日に提言しているのを根拠にしているらしいが、様々な専門家が様々な意見を投げかけている中「立憲民主党」として、どのような考えに基づいて提言しているかが明確でないと、その時のエキセントリックな態度も含めて、単に「ごねている」としか見えない。 

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  *1月25日の予算委員会で質問する山井議員と岸田首相(時事通信社

 

2 菅直人「最高顧問」のツイッター

 立憲民主党最高顧問の菅直人元首相が27日、日本維新の会を創設した橋下徹氏について 「(ナチス・ドイツの)ヒトラーを思い起こす」などと自身のツイッターに投稿したことをめぐり、日本維新の会立憲民主党に謝罪と撤回を求めていることについて反論した。

  反論の主張は主に2つ。第1に「個人的な発言なのだから、どうして私のところに直接 (反論が)来ないのか」という点。それではかつて様々な自由民主党員の言動に対して、今までは国会審議で総理総裁に対して対処を求めてきたが、今後立憲民主党は例え元総裁の立場であっても、個人的な言動に対して質問は行わず直接党員にしか反論していかないということか。

 第2は菅直人元首相が 「日本では言論の自由は認められている」と主張している点。日本維新の会は、橋下氏をヒトラーと結び付けることに対して抗議しているのであって、立憲民主党は柏手の名誉を棄損するような、また 「ヘイトスピーチ」と思われる内容にまで言論の自由を認めていくのか。そうでないならば、なぜそれなりの根拠は示さないのか。 菅直人元首相の発言は更にエスカレートして、「維新の会の支持者は低所得者層」とまでレッテルを張っている。

 こちらは「面倒な」菅直人元首相と、まだ舵取りに慣れない新党首に維新の会が放った「王手飛車取り」の一手に見える。果たして立憲民主党の泉代表は1月28日、公的な政党の幹事長が政党本部に赴いて提出した抗議文に対して「日本維新の会がどういう意図を持ち、なぜ党に抗議文を持ってきたのかよく分からない。基本的に党 として今、関与することは考えていない」と記者団に答え、スルーする見通し。

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 *1月28日、記者団に答える泉代表(立憲民主党のHPより)



3 問題の所在

 どちらも今さら「目くじら」を立てる問題ではない感じもするが、問題が重なると意識の「ズレ」を感じてしまう。立憲民主党は先の衆議院選で議席を減らし、党首交代をしたにも関わらず政党支持率の回復は見られない状態が続いている。先の衆議院選挙の総括が出され、敗因の原因の1つに、支持母体の連合が相容れない政党と選挙協力をしたことを挙げている。しかしその前の参議院選挙では選挙協力はある程度結果を出していて、これだけで片づけるには無理がある。

 私は先の衆議院選挙における立憲民主党敗因の主因は、安住淳国対委員長にあると考えている。NHK出身でもある安住氏は、衆院選が近づく中で自民党総裁選が報道一色になることを危惧して、個別の番組をチェックして 「場合によってはBPO放送倫理・番組向上機構)への対応を考えていかなければならない」と述べた。

  選挙の期限が決まっている中で報道の平等性を求めたのは、さすがテレビ局出身の発想と思わせたが、結果は裏目に出た印象を受ける。テレビは自民党総裁選で各候補が様々なテーマで討論する様子を流す一方、バランスを取るために当時の枝野党首は毎回同じ顔で、同じような演説を「無理やり」放送していた。「よかれ」と思った安住氏の提言も、アピールする材料がないと、かえって有権者に飽きられてしまう

www.jiji.com

 

4   立憲民主党に期待するもの

 今回のコロナ禍で維新の会は、大阪で代表、副代表が先頭になって現場で対応しているが、立憲民主党野党第一党としてどれだけコロナ禍を収めるために「汗を流しているのか」、残念ながら中央でも地方でもその姿が見えない。「批判ばかりではない」と主張してもその姿が見えないのでは、政党支持率で維新の会に抜かれても文句は言えまい。コロナ分科会長の意見を引用するのではなく、政党で取りまとめた 「提言」及び実行が求められる。

 アメリカで長年業界第2位に甘んじていた会社が「2番手だからこそ、サービスは首位の会社に負けないようにする」と広告をうち、そのとおりにサービスを推し進めて、ついに悲願の業界首位になったエピソードがかつてあった。

 マンガ「美味しんぼ」に「二代目の腕」というエピソードがある。名人と言われた先代の後を継いだ天ぷらの料理人が、いくら頑張っても「先代に及ばない」と常連客から言われ、店の評判が落ちる。本当は料理の味は先代と変わらないが、先代のイメージが強いため、結局は漬物の味を磨いて先代のイメージを払拭することにより、天ぷらの腕も認められた。

  f:id:nmukkun:20220130075009j:plain 美味しんぼ「二代目の腕」より

 

 以前民主党は「官僚支配打破」と謳い、埋蔵金問題などを取り上げて政権を奪取した。その結果は「残念」だったが、プロセスとしては同じように「立憲民主党として何を行いたいのか」を政策として明確に示して、国民に訴え、そして認めてもらう必要がある。

 鬼が笑うどころか、呆れるくらいの時間がかかってもやむを得ない。「ワンイッシュー(単一論点政治)」でいいから、自民党を凌駕して国民が納得する政策を提言してもらいたい。単に自民党の「オウンゴール」を待っているだけでは、その後仮に政権奪取しても「前回のように」続かない。

 そのために、税金を原資とする政党助成金を受け取っているのだから

 

今週のお題「鬼」