小説を 勝手にくくって 20選!

ジャンルで分けた20選の感想をつづります。

       書評を中心に、時たま日常を語り社会問題に意見します。ネタばれは極力気をつけます。        

【コラム】 選挙前の給付金政策は法律で禁止せよ!

 

 今月中にまとめる緊急経済対策で、2022年度から新たに住民税が非課税となった世帯に現金10万円を支給する方針を固めた。コロナ禍の長期化や物価高騰で深刻な影響を受ける生活困窮者世帯の支援を強化する。自民、公明両党の協議を経て、来週にも決定する。

(中略)

 また、低所得の子育て世帯の支援を行う方針を固めた。住民税非課税世帯などが対象で、子ども1人あたり5万円を支給する方針だ。低所得の子育て世帯には、20、21年度にも給付金を支給した。22年度の予備費約2000億円を支出する方向だ。(Yahoo! ニュースより)

 

 先月は受給額が減る年金生活者を対象として、1人5000円の「臨時特別給付金」の方針を一度ぶち上げましたが、野党側から「夏の参議院選挙目当てのバラマキだ」などという批判が出ていて撤回しています。その舌の根も乾かないうちに、さらに強力なバラマキ政策を推し進めようとしています。

 以前のコラムでも取り上げましたが、自民党総裁選の時に子育て政策の予算は2倍にするという質問に候補者全員イエスと回答しました。子育てならばどのような予算でもバラマキにならないのか、そして非課税世帯への生活困窮者に対しても10万円支給が決まります。非課税世帯は市町村によって条件が微妙に異なるが、簡単にまとめると世帯全員で住民税を課税する対象となる収入がない世帯で、生活保護者も条件に含まれます。

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*財務事務次官の思いは、政治家に通じませんでした。

 

 今年は国政選挙である参議院選挙のある年。参議院選挙は解散のある衆議院選挙と違い改選期が定められていますから、現在6月公示、7月投票と現在予定されています。

 ところで、公職選挙法では「選挙運動」と「政治活動」は分けられています。「選挙運動」は候補者の当選を目的に、有権者に投票を依頼する運動のことです。立候補届が受理されてから投票日前日まで行うことができ、その期間以外は禁止されている「事前運動」に当たります。

 一方、「政治活動」とは「選挙運動」を除く全ての政治目的の活動。選挙期間中は一定の制約がかかりますが、それ以外は原則自由になります。

 最近は立候補予定者と思われる人が、同じ党などの有名人と一緒に移り、講演会のお知らせと記載されているポスターが拝見されていると思います。これは講演会のお知らせとしてのポスターであり、参議院選挙の選挙活動ではないですよ、というアピールになります(しかし、ホントに講演会が実施された話は聞いたことがない。有名な政治家だと、全国でブッキングしまくるゾ)。

 予算編成は明らかに政治活動です。それまで与党が行なっていた予算編成の正否を争うのが国政選挙といっても過言ではありません。しかし参議院選挙前に立て続けの政府による支給案。果たしてこんなことでいいのでしょうか

 マスコミでも、自民党総裁選の際に立憲民主党から衆議院選挙も間もない時期に自民党総裁選のニュースを大々的に扱うのはマスコミの中立性に反すると考えて、野党の放送も合間に入れるなどの配慮をしました。しかし政府の政策は以前も言った「閉店間際のクリアランスセール」のようなバラマキ合戦になっています。以前はこんな野放図な政策はなかったので問題になりませんでしたが、このようなことが続くと明らかに与党有利は否めません。

 

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立憲民主党などの主張により、テレビは自民党総裁選の際は野党の活動も「挿入」しました。

 

 現状の政界地図から見て(残念ながら?)自民党が政権党から滑り落ちる可能性はまずありません。但し自民党内で岸田政権の基盤が選挙結果において揺らぐ可能性は否定しませんが、そこはもう少し政治家としての「矜持」を持って貰いたいもの

 野党が弱いのも悪い。しかし国民の税金を選挙を視野に入れた思惑で動かすのは辞めてください。本来は選挙のもっと前か選挙後に議論する話です。昨年秋、総裁選と衆議院選挙を前に矢野康治財務事務次官が、バラマキ合戦のような政策論に対して財政危機の状況を文藝春秋に寄稿しましたが、その思いも無になろうとしています。それで今回もまた「バラマキ政策」を実施すると、今後も立て続けに行なわれることは、火を見るより明らかです。ここまでくると、これは政党が国のお金を使って行なう大がかりな寄付行為です

 そうなると法律で縛りを設けるしかありません。

 選挙前の「給付」政策はもう禁止にしましょう!