カバンの中身と問われて、真っ先に思いつくのはこれ!
パズーのカバンの中に、どんな形で目玉焼きが入っていたのか、それを考えると夜も眠れなかったあのころ。そしてリンゴやあめ玉なども入っているらしく、その行動はまるで大阪のおばちゃん並み(^^) 若いのに妙に老成したところに、感心したものです。
話変わって自分のカバンですが、私は社会人になってからは、常に通勤用カバンとプライベートの肩掛けカバンの2つのみ。今は配偶者の目が光って、1~2年に1回はそれぞれ買い換えを求められていますが、独身時代はかなりくたびれるまで使っていたので、時に自分でも何が入っているのかわからない時も・・・・
以前私が喫煙者の時、タバコを買うのは1カートン(10箱入り)単位でした。と言うのも、カートンを買うと販促用の使い捨てライターが付いてきて、吸いたいときに火ダネがない! という「喫煙者あるある」を回避するために、とにかくライターを貰っていました。
ある日父と配偶者の実家に、結納で挨拶に行くことになり(母は先に他界していた)、2人で飛行機に乗りました。その時父はもう70歳を越えた高齢で飛行機も1人で乗ったことがなく、ちょっと心配していました。そうしたら私が搭乗前の手荷物検査で、使い捨てライターで引っかかってしまいます。
「ライターは飛行機の中に入れることはできません」と言われて、やむなく目についたライターを差し出して、またゲートをくぐろうとするのですが、これが何度も何度も引っかかる。改めてカバンの中を見ると、何とライターが15個も入っていた! よくもこんなに集めたものと、自分でもあきれかえってしまいました(完全に忘れていた)。
そんなことで私が手荷物検査からようやく解放されて、飛行機に慣れない父の元に急ぐと、父は検査員ともめている様子。どうしたのかと尋ねると、何とカバンの中にハサミを忍ばせていました! これは完全にアウトですが、父は妙にこだわっていて、検査員とカンカンガクガク。私が説得してようやく諦めました。
後で、どうしてそんなにハサミになんかこだわったの? と聞くと、何と最近覚えた手品を、配偶者の実家で披露するためとの話。昭和1ケタ生まれで仕事一筋、寡黙で不器用な父が手品を始めたなんて、初めて聞いたのでビックリ。この日のために新しい「ネタ」を覚えたそうです。とは言え私からすると、結納のかしこまった場で、そんなことされたら面目まる潰れと恐れ、そんなことはしないでよ、と諭しました。
そして配偶者の実家で相手への挨拶の場。お互い緊張した面持ちでぎこちなく結納を交わして挨拶が済んでもまだ堅い空気の中、父がその緊張を破って「これから手品をしましょう」と宣言。止める間もなく手品は始まってしまいます。厳粛な雰囲気をぶち壊すのではないかと危惧する私をよそに、父は不器用な語り口で一生懸命手品を披露します。
そのネタはショップで1000円くらいの値段で売っているタネを元にしたもので、見るのもちょっと恥ずかしいようなシロモノでした。やっちゃった~、と心の底で頭を抱える私に対して、一生懸命さが伝わったのか予想外に盛り上がり、緊張は解けて和やかな雰囲気となりました。
その後数年で父は病気となりました。余命あと2、3日と宣告されるも、その後5年ほど生き永らえてから、他界しました。大人になったら親子の立場は逆転して、世間知らずの父に対して、私が教え諭す役割をしていたと思っていました。しかしあの時の手品は、父が私にしてくれた最後の「教え」だったように思います。いくら知識はあっても、生きるための「胆力」については、私はついに父にかなわなかったと、つくづく思い知らされました。
*もう1つの、父と「中身」の思い出です。
今週のお題「カバンの中身」