小説を 勝手にくくって 20選!

ジャンルで分けた20選の感想をつづります。

       書評を中心に、時たま日常を語り社会問題に意見します。ネタばれは極力気をつけます。        

【コラム】 節電努力はまずテレビ局から

 5月27日、政府(経済産業省)は、今年の夏(7〜9月)は7年ぶりに節電要請を行なう方針を固めたと発表しました。原因として、老朽化した火力発電所の休廃止増加や、3月の福島県地震の影響で、電力の供給余力が不足していることを上げています。

 7月の需給は2017年度以降で最も厳しい見通しとなり、ウクライナ情勢の深刻化による資源調達問題もあるために、家庭や企業に早めに状況を伝える「注意報」の新設も対策に取り上げています。

 ちなみに電力会社は、電気事業法によって電気を供給する「義務」を追っています。

電気事業法

第 18 条 一般電気事業者は、正当な理由がなければ、その供給区域における一般の需要(事業開始地点における需要及び特定規模需要を除く。)に応ずる電気の供給を拒んではならない。

第 18 条の 2 一般電気事業者は、供給約款又は選択約款により電気の供給を受ける者の利益を阻害するおそれがあるときその他正当な理由がなければ、その供給区域における特定規模需要(その一般電気事業者以外の者から電気の供給を受け、又はその一般電気事業者と交渉により合意した料金その他の供給条件により電気の供給を受けているものを除く。)に応ずる電気の供給を拒んではならない。

 

 こちらはちょっとわかりづらい図ですが、1990年を100とした場合の各国の電力消費推移をグラフ化したもの。2011年に発生した東日本大震災以降、節電意識や節電グッズの浸透などもあり、日本の消費量はここ近年頭打ちになっていますが、最近の猛暑による冷房の推進、在宅勤務の取り組みによる自宅での電気消費の増加などもあり、節電意識もそろそろ限界かと思われます。

     電気事業連合会ホームページより

 そこでいつも不思議に思っているのが、節電を呼びかけるテレビ局(政府の要請を報道しているだけだが)。番組制作は「電気のカタマリ」とも言われ、冬でも冷房が必要なほど電力を消費するビジネススタイルはどうにかならないものかと、いつも疑問に思っていました。

 テレビ局はキー局も地方局も、独自の発電設備を完備して、停電でも対応できるようになっています。実際に東日本大震災の停電時には、自家発電で放送を流し続け、ニュースを提供してきました。しかし、放送局の自家発電装置はあくまでも災害時の停電に備えたもので、平常時や災害時でも送電網に問題がなく停電に至ってない場合は、外部電源で放送しているそうです。

 そこで提案。力需給が逼迫する平日月曜から金曜までの日中は、キー局5局を通じて順番で週1回放送を休止する「英断」をして貰いたいと思います。理由は以下。

 第1に、需給が逼迫する時間帯は、工場や事業所が稼働する9時から19時まで、特に猛暑の12時から5時までに集中します。その時間帯、テレビ局はいわゆる「プライムタイム」からは外れています。

 第2に、テレビ局は報道する使命があると言われるでしょうが、緊急の報道でも「当番制」によって、視聴者が困ることはありません(NHKは放送法の関係などもあり、当番制から外す)。

 第3に、テレビ局も「働き方改革」や人流の低減に、(今まで以上に)協力することができます。特に猛暑の時期には効果的と思われます。

 最後に、数時間でも日中にキー局の1つが放送しないインパクトは絶大です。仮に自家発電による放送を当番制にして、節電をアピールして放送を続けるよりも、視聴者=国民に、節電を強く訴えることになります。

 テレビ局から見れば「暴論」極まりない話でしょう。放送しない時間帯の広告費は全て減収となり、テレビ局が「被る」ことになります。しかし深夜など放送しない時間帯は存在するわけですから、昼間は「放送しなければならない」わけではないはず。ちょうど再放送の番組が多く、情報番組も午前の延長線上の内容と見受けられます。

 電力を始めとするコストの軽減、猛暑時における労務管理、そして何よりもテレビ局が国民に訴える「アピール」など、有形無形のメリットがあると思うのですが・・・・

 節電は「まず隗より始めよ」。節電が叫ばれるこの夏、テレビ局の皆さまは是非ご一考を。

 (これが浸透して、「テレビ局って昼間はいらないんじゃね?」と思われても責任は持てませんが・・・・)