小説を 勝手にくくって 20選!

ジャンルで分けた20選の感想をつづります。

       書評を中心に、時たま日常を語り社会問題に意見します。ネタばれは極力気をつけます。        

【コラム】 時代は「巡」る

 年末年始には日本では収まっていたコロナ。外国では急激な患者の増加が報道されていて、いずれ日本にもと思っていましたが、ここ1週間で急激に患者数が増加し、強烈な第6波が「巡って」きてしまいました。

 またまた「巡って」きた波に肩を落とす旅行業や飲食業の方々もたくさんいると思います。「コロナ特需」によって増収増益を記録している企業もあるようですが、社会および経済全体を包む閉塞感は否めません。なんとかコロナによる負の連鎖を昨年で断ち切って欲しかったのですが、今年もまた続きそうです。

 そこで、私が選ぶ今年(1月まで)の漢字は「」とさせて頂きます。

 コロナの感染が始まってから2年経とうとして、当時の過剰なコロナ対策から、日常生活も「ウィズ・コロナ」で対策が緩くなってきたためか、新型コロナの感染力の強さもあって、感染者が今までにない増加傾向にあります。また免疫力も全体の6~7割を超えて免疫力を持てば集団免疫は完成すると言われていますが、「変異株」もありそう簡単にはいかない様子です。そのためワクチンを打っても「巡り巡って」新たな波が訪れてしまいます。

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 このコロナ禍、考えるとおよそ100年前のスペイン風邪と比較されます。世界大戦による人の流動もあり全世界的に広がり、そして「全員抗体」により3年かけてようやく収束したと言われた猛威。当時の世界人口のおよそ3分の1が感染し、1億とも言われる人が亡くなった大きな影響を与えたパンデミック。そして歴史は過去にコレラ、ペストなどのパンデミックも「巡って」きたことを記しています。

 その原因はわかりません。それは人類を始め様々な生物が生れた歴史と同じように、新たなウィルスが生まれるのでしょうか。様々な遺伝子から変異して生まれる新しい生命体。これも地球が何億年をかけて「巡って」きた歴史の1現象なのでしょうか。

 

 f:id:nmukkun:20220122085825j:plain  神戸新聞NEXTより

 

 「因果は巡る」という言葉もあります。因果応報と同じ意味と言われていますが、意味は自分の行ないは必ず自分の元に返ってくるという意味で、字面のためか「自業自得」や「身から出た錆」と同じように悪い意味に受けとめがちですが、仏教用語で「善因善果、悪因悪果」から来ている言葉。よい原因はよい結果を導き、悪い原因は悪い結果を導く。よい行いはよい果報をもたらし、悪い行いは悪い果報をもたらす、と良いことも悪いことも合わせて使われるそうです。英語で表現する

 “What goes around comes around” (自分の行いは、いずれ自分に返ってくる)

のニュアンスが、意味が近く感じます。

 こんな閉塞感が包む社会に対して、絶望し、そしてやるせなさを感じる方々もいらっしゃると思います。けれども今回のコロナ禍も過去の人間の、そして生物の歴史で「巡って」きた現象の1つ。いつかは収束し、新たな良い社会が作り出されるのも、人類が「巡って」来た因果の歴史です。今回もそうであることを信じたいものです。

 そしてこの絶望から再生へと「巡る」想いは、およそ半世紀前、1人の天才に降りてきた歌にも表われていると思います。

 

 めぐるめぐるよ 時代はめぐる  別れと出会いを繰り返し

 今日は倒れた旅人たちも    生まれ変わって歩き出すよ

          中島みゆき「時代」 1975年

 

www.youtube.com

You Tubeでみゆきさんが歌っているのは1番だけですが、やはりこの曲は本人で

 

今週のお題「現時点での今年の漢字