小説を 勝手にくくって 20選!

ジャンルで分けた20選の感想をつづります。

       書評を中心に、時たま日常を語り社会問題に意見します。ネタばれは極力気をつけます。        

好きな「日本の国宝」10選

はてなブログ10周年特別お題「好きな◯◯10選

 何とも地味なテーマですが、私が眠れない時に妄想していたテーマです。

 文化の日に合わせて投稿しますので、日本の文化の粋を感じてください。

 

第10位 大力  銘安綱(名物童子切安綱)

 

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 国立博物館で見た太刀。反りが強く美しい。日本の「天下五剣」の1つ。実際に使うと扱いが繊細ではないかとちょっと疑問も残りましたが、清和源氏の祖とも言える源頼光酒呑童子退治で使用した太刀として伝説となり、その後足利将軍家から秀吉、家康、秀忠へと所有者が移ったものです。「刀剣女子」の言葉も現れて刀剣は現在人気が高くなっていますが、刀剣はその美しさとともに、その由来と持ち主の変遷も、価値に付随すると強く感じます。

                                                                                                              

第9位 紅白梅図 尾形光琳筆 

  

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  熱海にあるMOA美術館所蔵の屏風。最初に見たときはデザインが人工的で、例えば同じ紅白を基調とする智積院の襖絵「桜楓図」のような解りやすい画と異なり、余り感情移入ができませんでした。しかし見ているうちに、両脇の木の枝の絶妙のバランスに引き込まれます。また真ん中に流れる川が、不自然な描写にも関わらず存在感を感じ、ひいては「この川でなければならない」と思わせていきます。

 見れば見るほど不思議な印象を与えてくれます。

                                                                                                              

第8位 洛中洛外図屏風 狩野永徳筆    

 

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 米沢市の上杉博物館で所蔵されています。原本は通常年に1回展示しますが、とても薄暗い照明で(笑)、いつも展示している模写の方がじっくりと見られます。上洛した織田信長が、懐柔も目的で上杉謙信に送ったとされる屏風絵です。京都観光案内ともいうべき絵ですが、その細かな人物描写と名所旧跡の描き方は何度見ても飽きず、また鮮やかな色彩は絢燗豪華。いかにも狩野永徳らしい、そして織田信長らしい作品です。               

                                                                                                              

第7位 中尊手金色堂

 

   f:id:nmukkun:20211030064230j:plain (こちらは復元された建物です)

 奥州藤原氏の栄華を物語る建物。一地方豪族が築き上げた力で、金に彩られた建物を建築したことは、見事としかいいようがありません。そして栄華を誇った奥川藤原氏が4代で滅亡したことで、寂蓼感も加わり、更に感慨が深まります。同じような意味合いが、今回取り上げませんでしたが「平家納経」にも感じます。

          五月雨の 降のこしてや 光堂 (芭蕉

                                                                                                               

第6位 風信帖 空海

 

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 宗教の世界だけでなく、文化や教育、そして濯概など広範な分野で影響を与えた空海弘法大師)。その空海が、同時代の僧侶、最澄に対して送った私信を集めたもの。当時流行の王義之の影響を受けながらも、私信ということもあり、制約なくのびやかな筆致で描かれ、後々まで日本の害家に影響を与えた書です。

 同じ空海の筆 「三教指帰」はしっかりとした筆致で描かれて、緊張感が最後まで途切れず息をするのを忘れましたが、風信帖は空海が気軽に書いた心境も想像させて、引き込まれます。

                                                                                                               

第5位 室生寺五重塔 

 

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    五重塔はいくつもありますが、この塔はバランスが1番整っていると感じます。日本で1番小さな五重塔で、可愛らしさ(?)も感じるのは、さすが「女人高野」と呼ばれる尼のためのお寺の塔と思ってしまいます(残念ながら現物はまだ見ていません)。

 1998年に台風の被害で1層から5層まで全体に渡り大きな破損を受け、倒壊寸前になりましたが、大エ事で何とか修復し、その美しさを保っています。 

 

第4位 百済観音 (法隆寺

 

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 仏像も数々ありますが、私の1押しはこちら。全てを受け入れたかのような表情と、美しい手のフオルム。身体にまとわりついた天衣の曲線。そして大瓶を「つまむ」指の美しさは例えようがありません。

 「百済」の名前が使われるようになったのは大正時代になってから。元々は朝鮮半島を経由して天竺(インド)から伝わった説がありましたが、最近になって材質は日本固有の材木のため、日本で製作されたとも言われています。  

 

第3位 薬師寺東塔

       

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  「凍れる音楽」。明治時代に来日した、日本の美術品を調査したフェノロサの言葉とされていますが、真偽は定かでありません。但しその言葉は、現物を見たらだれもが納得するでしょう。三重塔ですが、各層に裳階(もこし)と呼ばれる小さな屋根があるため六重塔のように見えます。その意匠は、発想がどこから生まれたのか不思議なくらい、誰にも真似できないバランスを見せています。

 ようやく約10年に渡る修復工事が完了しました。現物は修学旅行で見たきりですが、またこの年になって改めて見たい建物のNo.1です。  

 

第2位 松林図 長谷川等伯筆    

 

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    安部龍太郎著の小説「等伯」の主題とも言える絵。一度見ただけで心が奪われ、そして何度でも見入ってしまう不思議な力を秘めています。遠くの雪山をのぞみ、朝霧の立ち込めた松林を描いたこの静かな作品は、等伯の故郷、日本海に面した能登でよく見た松林を題材に、等伯が自分の子を失った悲しさから生まれたと言われています。そして安部龍太郎は、人の魂魄が遠くの雪山に向かって歩む姿と評して、これもまた納得です。

 

第1位  伝源頼朝像  (神護寺三像)

 

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   神護寺に伝わる平重盛像、藤原光能像と並んで所威されている肖像画。実物大とも言える大きさを持ち、細微な筆致で描く顔に対して、折り紙のように見える装束。3次元の表情と、2次元に見える装束が 絶妙なバランスで組み合わされています。ちょっとでもバランスが崩れるとその世界が崩壊してしまう ギリギリの線で、不思議な調和を奏でています。

 最近では装束の特徴や寺のいわれなどから、足利直義の像ともされ「伝」の文字が加わりましたが、涼やかな表情の中にも強い意志と修羅場をくぐった経験がにじみ出るこの人物は、私には源頼朝にしか見えません。 

 

 (なお、画像は全てウィキペディアから引用しています)